マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

クライマックス・シリーズの改善案

 今年のプロ野球セントラル・リーグのクライマックス・シリーズで――

 年間リーグ優勝チームの広島カープが――
 同3位の横浜ベイスターズに敗れる波乱がありました。

 対戦成績は、カープのアドバンテージの1勝を含めて、4勝2敗でした。

 クライマックス・シリーズでは、優勝チームと2位チーム、3チームとが出場し――
 優勝チームが有利な条件でトーナメント戦を行います。

 まず、2位チームと3位チームとが、2位チームのホーム球場で、ファースト・ステージを闘います。
 ファースト・ステージは、2勝先取の3試合制です。

 これに勝ち抜いたチームが、優勝チームのホーム球場で、ファイナル・ステージを闘います。
 ファイナル・ステージは、優勝チームにアドバンテージの1勝が与えられることから、4勝先取の6試合制です。

 このファイナル・ステージを勝ち抜いたチームが――
 プロ野球日本一の座をかけ、パシフィック・リーグのクライマックス・シリーズを勝ち抜いたチームと、日本シリーズを闘います。

 裏を返すと――
 たとえ年間リーグ優勝を果たしたチームであっても、クライマックス・シリーズを勝ち抜けられなければ――
 日本一になる資格を失います。

 今年、カープを破ったベイスターズは――
 2位チームであった阪神タイガースのホーム球場で、ファースト・ステージを勝ち抜き――
 さらに、相手チームにアドバンテージの1勝が与えられる不利な条件で、ファイナル・ステージを勝ち抜きました。

 その闘いぶりは、

 ――見事

 の一言に尽きます。

 が――
 それは、そうとして――

 カープ・ファンはもとより――
 多くのプロ野球ファンが、

 ――なんか納得いかない!

 と感じていることも、また事実です。

 その原因は、どこにあるのか――

 僕は――
 優勝チームへ与えられるアドバンテージが1勝で適切なのかという懸念――
 および――
 そのアドバンテージとは別に、ディス・アドバンテージが優勝チームに与えられているのではないか、との懸念――
 にあると考えています。

 優勝チームは、2位以下のチームをどんなに引き離して優勝しても、アドバンテージは1勝です。
 年間リーグを、0.5ゲーム差で優勝しても、15.5ゲーム差でも優勝しても、1勝です。

 ――それは、変だろう?

 というのが――
 一つの見方です。

 では――
 アドバンテージを見直せばよいのか――

 例えば、2位以下に10ゲーム差をつけて優勝した場合には、アドバンテージを2勝にすればよいのか――

 ……

 ……

 僕は――
 それも違うような気がします。

 極端な話――
 アドバンテージが3勝であっても、第1戦から4連敗してしまえば――
 優勝チームは敗退するわけです。

 実際――
 今年のカープは、第1戦に勝利したあと、4連敗を喫して敗退しています。

 ……

 ……

 僕は――
 アドバンテージの問題は、
(小さい)
 とみています。

 より大きな問題は、

 ――図らずも優勝チームに与えられるディス・アドバンテージ

 とみています。

 何がディス・アドバンテージなのか――

 ……

 ……

 それは、

 ――クライマックス・シリーズの開幕戦を闘えない。

 というディス・アドバンテージです。

 優勝チームは、ファイナル・ステージからの出場です。

 2位チームと3位チームとがファースト・ステージで死闘を演じたあと――
 勝ち抜いてきて勢いを得ているチームと、ファイナル・ステージを闘います。

 このとき――
 勝ち抜いてきた2位チームないし3位チームは、死闘の余韻を残し、勝負勘は研ぎ澄まされています。

 一方――
 待たされていた優勝チームは、緊張の糸が切れがちで、すっかり勝負勘は鈍っています。

 そんな両チームの対戦は――
 決してフェアとはいえません。

 多くのプロ野球ファンが、

 ――なんか納得いかない!

 と感じるのは――
 こうしたアン・フェアな仕組みに起因していると考えられます。

 では――
 どうすればよいのか――

 ……

 ……

 僕は――
 優勝チームに与えられるアドバンテージを見直し――
 かつ――
 図らずも優勝チームに与えられていたディス・アドバンテージを取り除くのがよい――
 と考えています。

 具体的には、

 ――クライマックス・シリーズの開幕戦で優勝チームが闘えるようにする。

 ――優勝チームへのアドバンテージは、クライマックス・シリーズの日程や開催場所に関する利点として与えるにとどめ、対戦成績の利点としては与えない。

 の2点です。

 例えば――
 以下のような日程および開催場所にします。

  ファースト・ステージ
   場所:優勝チームのホーム球場
   第1戦 優勝チーム対2位チーム
   第2戦 優勝チーム対3位チーム

  セカンド・ステージ
   場所:2位チームのホーム球場
   第1戦 2位チーム対3位チーム

  ファイナル・ステージ
   場所:優勝チームのホーム球場
   第1戦~第7戦 優勝チーム対セカンド・ステージ勝ち抜けチーム
 
 アドバンテージは、ファースト・ステージで優勝チームが挙げた勝ち星の数を適用します。

 例えば――
 優勝チームが――
 2位チームにも3位チームにも勝利したのであれば、アドバンテージは2勝――
 どちらかのチームに敗北したのであれば、アドバンテージは1勝――
 どちらのチームにも敗北したのであれば、アドバンテージは無し――
 となります。 

 この日程だと――
 2位チームや3位チームは――
 セカンド・ステージの前後で移動をしなければならないので、けっこう大変です。

 また――
 ファースト・ステージで、たとえ自分たちが勝ったとしても――
 もう片方のチームが敗北すれば、優勝チームにアドバンテージの1勝が与えられてしまう――

 しかも――
 その優勝チームは、ファイナル・ステージでのアドバンテージを手にするかしないかという真剣勝負を経験してきていて、勝負勘は研ぎ澄まされている――

 優勝チームにしてみたら――
 ファースト・ステージで連勝すれば、かなり優位な気持ちでファイナル・ステージに臨めます。

 そして――
 たとえ、連敗したとしても――
 それで、ようやく五分です。

 ……

 ……

 このように――

 クライマックス・シリーズのアドバンテージは――
 対戦成績に無条件で下駄を履かせるものではなく――
 心理的に優位に立てるものでないと――
 そんなに有効ではないように感じます。