この国において、英語教育の低年齢化は――
昨今、かなり決定的になってきています。
が――
それでも――
乳児・幼児期などの早期の英語教育については――
懐疑的な声が根強くあります。
なかには、
――赤ん坊に英語を学ばせるなど言語道断である。
と断言する人もいます。
その理由は――
様々に語られますが――
要点は――
以下に集約されるでしょう。
すなわち、
――早期に英語を学ぶことで、その分、日本語を学ぶ機会が減る。
という主張です。
……
……
たしかに――
早期から英語と日本語とを半々くらいに学んでいたのでは――
よほどの天賦の才でもない限りは――
どちらの言語も中途半端に終わるでしょう。
が――
どちらかに偏って学ぶのであれば――
懸念は薄れます。
例えば――
主として日本語を学び、たまに英語も学ぶ、というのであれば――
問題はないはずです。
英語の学びは、日本語の性質や特長、限界に関する相対的な理解を深めます。
ひいては日本語の力を支持し、増強することにつながるでしょう。
早期に英語を学ぶことの意義は――
たぶん、ここにあります。
……
……
もちろん――
しばしばいわれるように――
早期から英語を聴いて喋っていれば――
聴取や発音・抑揚などの習得には有利です。
が――
それは――
意義としては微々たるものです。
たんに英語が聞き取れたり喋れたりするだけでは――
日本語の力はもちろん、英語の力でさえ、ついたことにはなりません。
大切なのは――
言語を用い、広く知り、深く考え、鋭く伝え、豊かに表す能力です。
用いる言語は、日本語であろうと英語であろうと、大差はないのです。