感情を面に出すべきでないときに出すのは――
もちろん、よくないことですが――
決して――
見逃せないことは――
たとえ、その感情がポジティブなものであったとしても――
やはり、面に出すべきでないときには出さないのがよい――
ということです。
ポジティブな感情とは――
例えば、親しみとか喜びとか安らぎとか、あるいは、誇り、ゆとりといった感情のことですね。
きのうの『道草日記』で――
僕は、
――人間力は“理性の確かさ”と“感性の豊かさ”との積である。
と述べましたが――
感情を面に出すべきときでないのに、つい出してしまうのは――
一見――
感性の豊かさに自信があって、理性の確かさには自信がない人――
であろうと思われがちですが――
実際には、その逆――
つまり――
理性の確かさに自信があって、感性の豊かさには自信がない人――
であろうと思っています。
理性で感性を制御しようとすると――
たいていは失敗します。
感性を野放しにしても困らないように――
ふだんから十分に理性を働かせて万全の対策をとっておくことが――
必要なのです。
……
……
ある政治家が――
政治的に重要な課題を聴衆へ投げかける演説をしていたときに――
その面には――
なぜかポジティブな感情が出ていたのですね。
当人は――
たぶん――
親しみや誇り、ゆとりといった感情を出していたつもりなのでしょうが――
それをみたときに――
僕は、
(傲慢不遜――)
と感じたのですね。
(理性で感性を制御しようとして失敗したんじゃないか)
と思いました。