マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

『花木蘭伝説』あれこれ(10)

 『花木蘭伝説』の話も――
 きょうで10回目になったので――

 そろそろやめようと思いますが――

 最後に、

 ――花木蘭の涙

 には――
 少し触れておきたいと思います。

 ……

 ……

 実は――

 僕が『花木蘭伝説』を考えるときに――
 いつも頭に浮かぶのが――
 この、

 ――花木蘭の涙

 なのです。

 「花木蘭の涙」というのは――
 僕が便宜上そう勝手に呼んでいるだけなのですが――

 お気づきの方もあるでしょう。

   花木蘭の涙

 から、

   花

 を除くと――
 ある有名なヒット・ナンバーの題名となります。

 いまネットで調べたら――
 1993年のリリースでした。

 僕が『花木蘭伝説』を知ったのは――
 このヒット・ナンバーが話題となる数年前のことです。

 よって――
 このヒット・ナンバーの題名をみて、
(え? 花木蘭のことで歌を作った人がいるの? しかも、日本に?)
 と深く感じ入ったものです。

 ……

 ……

 残念ながら――

 このヒット・ナンバーの「木蘭」は――
 『花木蘭伝説』の「木蘭」とは何の関係もなく――

 読み方も、「もくらん」ではなく、「もくれん」です。

 紫の花をつける低木で、

 ――木蓮(もくれん)

 という植物があるのですが――
 その漢語表記が、「木蘭」なのだそうです。

 もちろん――

 これは、これで――
 とても良い歌なのですが――

 ……

 ……

 以来――

 なぜか、僕は、
(「花木蘭の涙」は、どんな涙なのだろう?)
 ということを――

 折にふれて――
 けっこう真剣に考えるようになりました。

 ……

 ……

 そこで――
 おとといまでの『道草日記』でお示ししたマル太仕様の『花木蘭伝説』に――
 戻ります。

 手前ミソで恐縮です――(笑

 ……

 ……

 思うに――

 花木蘭は――
 当初、元近衛将軍に拾われ、行動を共にし始めた頃までは――
 しょっちゅう涙を流していたでしょう。

 が――

 元近衛将軍の後を引き継いで一軍の将となってからは――
 おそらく――
 一度たりとも涙を流していません。

 花木蘭とは――
 そういう女性であったと思うのです。

 ただし――

 ……

 ……

 マル太仕様の『花木蘭伝説』の結末の場面――

 異国の侵略軍に宮殿を囲まれたなか――
 帝から今さらながらの求婚を受けたときに――

 花木蘭は――
 それでも――
 涙を流すことはなかったと思うのですが――

 ……

 ……

 最期に――
 帝を自らの剣で手にかけ――
 燃えさかる宮殿の奥に消えて行った際には――

 その頬に、ひとすじの涙がつたっていたに違いない、と――
 僕は思うのです。

 ……

 ……

 ――花木蘭の涙

 とは――

(そんな涙であってほしい)
 と――
 僕は思っています。