マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

「生老病死」よりも広い視野で


 人として暮らす以上――
 避けることのできない苦悩は、

 ――生老病死

 の四字熟語で――
 言い習わされていますね。

  死:死ぬこと
  老:老いること
  病:病むこと
  死:死ぬこと

 です。

 ……

 ……

 この「生老病死」よりも、

 ――餓恋死滅(がれんしめつ)

 のほうが――
 僕には、ずっと重要のように思えます。

 すなわち、

  餓:餓えること
  恋:恋すること
  死:死ぬこと
  滅:滅ぶこと

 です。

 この「餓恋死滅」は――
 いうまでもなく――

 6日前の『道草日記』から繰り返し触れてきた――
 ヒトの存続や本能に関わる4分割表、

            存続の本能 存続の停止
  個としてのヒト    餓       死
  種としてのヒト    恋       滅

 に由来します。

 もちろん――
 僕の造語です。

 ……

 ……

 特筆したいのは――
 「生老病死」の4つが、いずれも個としてのヒトに帰属・起因するのに対し――
 「餓恋死滅」の4つについては――
 餓や死は、個としてのヒトに帰属・起因し、恋や滅は、種としてのヒトに帰属・起因する――
 ということです。

 恋や滅は、自分一人ではどうしようもなく――

 そのぶん――
 恋や滅の苦悩は、生老病死の苦悩より、つらいかもしれません。

 が――
 滅はともかく――
 恋については、生老病死のいずれとも違って、欲求の満たされる喜び、というものがあることを――
 僕らは肝に銘じるべきでしょう。

 恋の充足は――
 人生に煌びやかな楽しみをもたらします。

 ……

 ……

 何がいいたいのかといいますと――

 ――生老病死

 は、生物種であるヒトの個体に閉ざされた苦しみであるのに対し、

 ――餓恋死滅

 は、生物種であるヒトの全体に及びうる苦しみや喜びである――
 ということです。

 つまり――
 「生老病死」よりも広い視野に立てそうな四字熟語として、

 ――餓恋死滅

 というのを考えてみませんか――
 という提案です。