たまに――
自分の周囲に恣意を及ぼそうとするのをいっさい放棄している人を――
みかけます。
ひたすら流れに身を任せ――
ただ成り行きをみているだけ――
来る者を拒まず――
去る者は追わず――
そういう人です。
……
……
そういう人をこそ、
――自然愛好家
と呼ぶのがよいでしょう。
「自然」の対義語が「恣意」であるならば――
必然的に――
そういう話になります。
……
……
もちろん――
すぐにお気づきのように――
そういう“自然愛好家”は――
しばしば、
――無責任
の誹(そし)りを免れません。
真の“自然愛好家”は――
人の世で生きていくのが、なかなかに難しいでしょう。
……
……
おそらく――
人が、人として、何らかの責任を果たしていくには――
どんなに自然を好むにせよ――
自分の周囲に、
――恣意
を――
ある程度には――
及ぼしていく必要があるのです。
――責任を果たす。
とは――
恣意を及ぼすことと、ほぼ同義です。
人として生きていくなら――
ただ自然を礼賛しているようでは、いけません。