マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

数学で議論参加式・企画関与式は可能か

 いわゆる大学入試で――
 僕のいう議論参加式ないし企画関与式の問題を扱うとしたら――

 たぶん――
 いちばん考えないといけない教科は――

 数学です。

 ……

 ……

 他の教科は――
 大丈夫でしょう。

 とくに理科などは全く困らなさそうです。

 自然科学の実験や観測の結果について議論をしたり、これまでにない実験や観測の計画について企画を立ち上げたり――
 材料となる主題は、いくらでもみつかります。

 社会についても――
 資料(史料)の内容について議論をしたり、社会問題を同定し、その解決に向けて企画を立ち上げたりすればよく――
 やはり、材料はいくらでもみつかります。

 国語や英語は語学ですから――
 議論や企画との相性は抜群です。

 国語(日本語)や英語の文献について議論をしたり、国語や日本語を用いた口頭発表の企画を練ったりすればよいでしょう。

 ……

 ……

 問題となるのは――
 数学です。

 これをどうするか――

 ……

 ……

 現行の大学入試の数学で――
 どんな問題が出されているかというと――

 例えば――
 以下のような問題です。

 問題
 三角形が半径1の円に内接するとき、面積の最大値を求めよ。

 この問題は文章論術式ですが――
 これを多肢選択式や空欄補充式に変えるのは造作もないことです。

 よって――
 本質的には――
 このような文章論述式の問題に代わって、いかに議論参加式や企画関与式の問題を設定すればよいかが、焦点となってきます。

 当たり前ですが――
 10人くらいの受験者が協働で、

 問題
 三角形が半径1の円に内接するとき、面積の最大値を求めよ。

 を解くというのでは――
 おそらく入学試験の意味をなさないでしょう。

 それは――
 イジワルな見方をすれば――
 10人の受験者でカンニングしあうようなものです。

 また――
 そのような見方をあえてしないにしても――

 数学の問題は、解けるときには、実にあっさり解けるものですから――
 議論が深まったり、企画が生まれたりということは、期待しがたい――

 ……

 ……

 では――

 あっさり解けないように――
 問題の難度を上げればよいのか――

 ……

 ……

 難度を上げても――

 例えば、

 問題
 四面体が半径1の球に内接するとき、体積の最大値を求めよ。

 という方向で難度を上げても――

 状況は――
 定性的には同じです。

 ただし――
 桁違いに難度を上げれば――
 状況は変わってきます。

 例えば、

 問題
 球をいくつかに分けてから組み直すと、最初と同じ大きさの球が2つ作れることを示せ。
 (バナッハ・タルスキーの定理を示せ)

 とすれば――
 議論は多少は深まり、何か斬新な企画が生まれたりするかもしれません。

 が――
 とんでもない数学の天才が受験者に混じっていない限り――
 少なくとも入学試験の最中に、何か意味のある議論が展開されたり、企画が着想されたりはしないでしょう。

 それでも――
 何とか受験者の優劣を判定することはできると思いますが――

 その優劣が、受験者の数学の勉強の来歴をどれくらい確かに反映しているかといえば――
 大いに疑問です。