――生命は、恒星の表面や近傍で誕生したかもしれない。
ということを――
きのうの『道草日記』で述べました。
――生命は、恒星の表面や近傍で、現在の人類が思いもよらぬ過程を経て、誕生しているかもしれない。
と――
……
……
――思いもよらぬ過程を経て――
と述べましたが――
半分はウソです。
僕は――
もし、生命が恒星の表面や近傍で誕生しているとしたら――
それは、
――散逸構造の発生
という過程をとるに違いない――
と考えています。
そのことは――
2016年8月24日の『道草日記』で触れました。
――自然界は、「生命」という名の散逸構造を、太陽から散り乱れながら流れていくエネルギーへの応答として、誕生させたのかもしれない。
というようなことを――
僕は述べています。
……
……
――散逸構造
とは、
――エネルギーの流れの吹きぬくところに誕生する構造
のことです。
いま――
冷えた味噌汁を鍋に入れて、温めることを考えましょう。
味噌汁の液面には――
やがて独特の模様が浮かびあがるはずです。
この模様は、味噌汁の対流を反映しています。
鍋の形状にもよりますが――
概して、鍋底に対して垂直の方向に、細長い対流の渦が幾つも生じます。
このとき――
味噌汁は、鍋底を介し、熱という形でエネルギーを受けとり、液面を介し、主に熱という形でエネルギーを放っています。
つまり、味噌汁はエネルギーの流れに吹きぬかれています。
そして――
鍋で生じた細長い対流の渦は、通常、幾つも集まって生じ、特定の構造を保ちます。
これが、
――散逸構造
です。
――エネルギーの流れの吹きぬくところに誕生する構造
といいかえることもできます。
こうした概念は――
20世紀ベルギーの理論化学者・物理学者イリヤ・プリゴジンによって提唱されました。
この提唱により――
「散逸構造」の「散逸」は、
――エネルギーの散逸
を意味しています。
自然界のエネルギーは、ただ流れるということは決してなく――
必ず散り乱れながら、流れるのですね――さながら、ホースの口から勢いよく噴き出る水のように――
裏を返すと――
エネルギーが散り乱れながら流れるところに、散逸構造は生じるのです。
生じる散逸構造が、具体的にどのような構造になるかは――
そのエネルギーの流れが存在するところの環境や事象に依ると考えられています。
おそらくは――
エネルギーが最も効率よく散逸されるのに都合のよい構造が発生すると考えられます。
このことから――
散逸構造の発生は、
――エネルギーの流れに対して自然界が示す応答である。
と解釈できるのです。
よって――
もし、生命体が散逸構造の一種なら、
――生命の誕生は自然界の応答である。
といえます。
(もし、生命が恒星の表面や近傍で誕生しているとしたら、きっと「散逸構造の発生」という過程をとっているに違いない)
と、僕が考えるのは――
そうしたことによります。