マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

真核生物と細菌とを結びつけた事件


 か、

 ――化学進化説

 かは、さておき――

 この広い宇宙のどこかで――
 地球上も含め、この広い宇宙のどこかで――
 生命は誕生しました。

 誕生したばかりの生命を、

 ――原始生命

 と呼びましょう。

 ひとたび原始生命が誕生したならば――
 生命の歴史は、俄然、具体的となります。

 原始生命が着々と進化を重ね始めるからです。

 この場合の「進化」とは、もちろん「化学進化」のことではなく、いわゆる「生物進化」のことですが――

 とにかく――
 原始生命は進化を重ね――
 やがて、相異なる2つの系統の生命へと分かれていきました。

 ――細菌(bacteria)

 と、

 ――古細菌(archaea)

 とです。

 「細菌」は――
 比較的、古い概念です。

 19世紀前半までに確立されています。

 一方、「古細菌」は――
 比較的、新しい概念です。

 20世紀後半になって確立されました。

 1970年代生まれの僕は――
 細菌のことは、学校の理科の授業で繰り返し習いましたが――
 古細菌のことは、全く習っていません。

 ですから――
 最初に、

 ――古細菌

 という言葉をみたときに――

 (何、それ? 細菌の一種?)
 と誤解をしました。

 古細菌は細菌とは別種です。

 どちらも単細胞生物であり、形状や規模が似ているので――
 かつては、

 ――原核生物

 と呼ばれて一括りにされていました。

 が――
 今日では、遺伝の機構や構造の物性が微妙に――でも、明確に――異なっていることが、わかっています。

 「原核生物」と対を成す言葉に、

 ――真核生物

 があります。

 僕らヒトは真核生物に含まれます。

 真核生物は――
 古細菌から派生したようです。

 遺伝情報の比較検討から――
 古細菌と細菌とが何らかの形で融合したことで――
 真核細胞が生じたらしいのですが――

 はっきりしたことはわかっていません。

 ところで――

 ……

 ……

 古細菌の発見は――
 科学史上の事件でした。

 古細菌の概念が確立されるまでは――
 真核生物と細菌とを結びつける概念が、いま一つ脆弱であったのです。

 このため、

 ――真核生物と細菌とは、ちょっと異質すぎて、共通祖先をもたない可能性がある。

 とも考えられていたそうです。

 その可能性を打ち消したのが――
 古細菌の発見でした。

 この発見によって――
 地球上の全ての生命にとっての共通祖先の存在が強く示唆されるようになったのです。

 もちろん――
 この共通祖先が原始生命――誕生したばかりの生命――であった必然はなく――
 あくまで原始生命の子孫の1つに過ぎなかった可能性があります。

 つまり――
 原始生命は幾つかの系統の子孫に分かれたけれども――
 共通祖先以外の系統の子孫――細菌・古細菌(真核生物)との共通祖先以外の系統の子孫――は、すべて死滅したのかもしれない――
 ということです。

 原始生命の誕生が38~42億年前であり――
 細菌と古細菌との分化は35~41億年前と考えられています。

 そこには――
 若干ながら――
 時間差があります。