マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

「古細菌」は「古菌」でも……

 ――古細菌の発見が、細菌と真核生物とを結びつけた。
 
 ということを――
 きのうの『道草日記』で述べました。
 
 ……
 
 ……
 
 誤解のないようにいっておきますと――
 
 ここでいう「古細菌の発見」とは――
 あくまで、
 
 ――概念としての古細菌の発見
 
 でして――
 古細菌それ自体の発見ではありません。
 
 ……
 
 ……
 
 概念としての古細菌が発見され、学界で広く受容されたのは――
 1990年代以降――おそらくは、2000年代――です。
 
 が――
 古細菌それ自体は――
 それ以前に発見されていました。
 
 現在、古細菌は500種以上が同定されているようですが――
 そのうちの何種類かは確実に1980年代以前にも知られていたのです。
 
 その頃は、
 
 ――これまで知られていた細菌よりも、生物進化の観点からみたときに、古い細菌である。
 
 と理解されていたために、
 
 ――古細菌(archaebacuteria)
 
 と呼称されていました。
 
 その後――
 古細菌と細菌とは、
 
 ――生物進化的には全くの別系統である。
 
 といってもよいくらいに相異なることが判明したために――
 少なくとも英語圏では、「archaebacteria」の後ろの「-bacteria」が外れて、たんに、
 
 ――Archaea
 
 と呼称されるようになったようです。
 
 強いて訳せば、
 
 ――古菌
 
 でしょうか。
 
 ところが――
 日本語圏では、すでに「古細菌」が定着してしまっていたために――
 
 英語圏で「archaebacteria」が「archaea」に置き換わったあとも――
 「古菌」ではなく、「古細菌」が使われ続けています。
 
 ただし――
 中国語圏では、「古菌」に相当する漢字が使われることもあるそうです。
 
 ……
 
 ……
 
 ――古菌
 
 僕は、
 (悪くない)
 と思っています。