――人
という漢字は、
――誰かが誰かを支えている様子を表している。
という考え方があります。
楷書の「人」をみたときに――
たしかに――
左の長い曲線が右の短い曲線によって支えられているように思えます。
が――
この考え方は――
今日――
明確に否定されているそうです。
楷書の「人」の原形を辿ると、
――人が立って左のほうを向いている様子を表した象形文字
に行くつくそうです。
楷書の「人」でいいますと――
左の長い曲線の下半分は――
もともとは腕を表していて――
右の短い曲線の全部は――
もともとは足を表していたらしいのです。
よって、
――人
という漢字は――
本来、1人の人を表しているといってよいでしょう。
が――
きのうの『道草日記』でも述べたように――
この、
――人
という漢字は――
ときに、何人かの人たちを表したり数多(あまた)の人たちを表したりすることがあります。
これは、なぜなのか――
……
……
僕は、
――1人の人は、必ず複数の対人関係を背負っているものだから――
と考えています。
つまり――
1人の人の背後には、何人かの人たちとの関係が――場合によっては、数多の人たちの関係が――潜んでいるから――
ということです。
いいかえると、
――人
という漢字は――
目にみえているところでは――
あくまで1人の人を表していても――
目にみえていないところを含めれば――
何人かの人たちや数多の人たちを表している――
ということです。
……
……
このように考えると、
――「人」という漢字は誰かが誰かを支えている様子を表している。
という考え方は――
(当たらずとも遠からず……?)
と思えます。