マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

今川義元のこと(24)

 4歳から6歳まで――
 僕はヨーロッパで暮らしました。

 そのせいか――

 日本のことを外からみようとするクセが――
 僕にはあります。

 自分が日本人であることをひとまず棚上げにし――
 日本人でないつもりになって――
 日本のことや日本人のことを考えてみる――

 そんなクセです。

 悪いクセかもしれません。

 ……

 ……

 そんな僕も――
 今年で46歳になります。

 ヨーロッパから帰ってきて40年です。

 とりわけ――
 ここ10年で――
 自分が日本人であることを積極的に肯定するようになりました。

 また――
 自分が日本人でないつもりになるのは、かなり難しくなってきました。

 (やっぱ、オレ、どうあがいたって日本人だよね)
 と思うようになってきたのです。

 ……

 ……

 気がついたら――
 今川(いまがわ)義元(よしもと)のことで24日分の『道草日記』を記していました。

 どうやら――
 僕は、今川義元のことが、かなり好きになっているようです。

 (なんでだろ?)
 と自問をしてみます。

 ……

 ……

 僕は――
 4歳から6歳までヨーロッパで暮らしていて――

 ほとんど異邦人のような気分になって――
 日本に帰ってきました。

 それから40年が経って――
 今や、その頃の異邦人の気分は、すっかり抜けきっています。

 そのことと――
 僕が今川義元のことをかなり好きになっているらしいこととは――
 たぶん密接に関係しています。

 ……

 ……

 自分が日本人でないつもりになって――
 日本のことや日本人のことを考えているとき――

 今川義元のダメなところ、イヤなところが――
 目につきます。

 (だから、桶狭間で殺されたんだよ、義元は――)
 などと突き放したくなる気持ちになりました。

 一方で――

 自分が日本人でないつもりになるのをやめて――
 むしろ日本人であることを肯定的にとらえた上で――
 日本のことや日本人のことを考えているとき――

 今川義元のスゴいところ、カッコいいところが――
 目につきます。

 (この人から学べることは、たくさんある)
 と半ば崇敬の念さえ、抱きたくなるのです。