マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

もう一つの心理歴史学(Psychohistory)

 ――心理歴史学(Psychohistory)

 といえば、きのうの『道草日記』で述べた通り、ふつうは20世紀アメリカの作家アイザック・アシモフが残した虚構上の学問分野を指しますが――

 そうではない「心理歴史学(Psychohistory)」も、英語圏には存在するようです。

 こちらのほうの心理歴史学は、

 ――歴史の動機付けを探る学問

 であるそうで、

 ――社会科学的な研究手法に心理療法的な洞察を持ち込むことで、人々の集団――現在の国家や過去に存在した国家など――の振る舞いの情動的な起源を理解する学問

 であるそうです。

 一見すると、

(なんのこっちゃ?)

 と戸惑うのですが――たぶん、国家などの大規模な人間集団について、その集団の振る舞いを規定すると考えられる集団心理というものを想定し、その心理を心理療法的に分析することで、その集団の歴史を理解しようとする試みなのでしょう。

 心理学と歴史学とを強引にくっつけたような学問のようです。

 

 ――強引にくっつけた

 と感じるのは、僕だけではないようで、伝統的な心理学者や歴史学者からすると、ハシゴの上にさらに別のハシゴをかけて昇っていく危うさがあるように思えるようです。

 心理学も歴史学も、それ単独では、そこそこ安全に利用できるハシゴですが、それら2つのハシゴを縦に重ねて利用するのは、たしかに、ちょっと危なっかしい――

 

 が、国家などの大規模な人間集団に一つの心理が共有されるていると仮定して、その共有されている心理の動きを読み込んでいくという発想は、歴史学好きの心理学者や心理学好きの歴史学者には、かなりなじみやすいと思います。

 

 その心理歴史学のことを紹介しているサイトを目にしたとき、僕も、

(気持ちはわかる)

 と思いました。