世 ・ 身 ・
・ 我 ・ 心
という環の「世」に修飾語をつけるとしたら、「人の」であろう――
ということを――
2月27日以降の『道草日記』で繰り返し述べています。
この「人の」の「人」は、
――人ごと
の「人」です。
――他人事(ひとごと)
とも書きますね。
意味は、
――他の人のこと
ですが――
より広い意味でとらえれば、
――自分には関係がないこと
つまり、
――我の与(あずか)り知らぬこと
です。
よって、
――人の世
とは、
――我の与り知らぬ世
という意味になります。
さらに、もう少し広く考えれば、
――我の与りがたき世(自我が関与しにくい世界)
あるいは、
――世における我の与りがたきところ(世界のうちで自我が関与しにくいところ)
といった感じでしょうか。
以上のことからもわかるように――
日本語の「人の世」は、英語でいうところの、
――The human world (人間界)
よりは広い文脈を引きずっています。
そのぶん、「人の世」には奥ゆきがあるのです。