マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

抗ウイルス薬が「最も薬らしい薬」とはいえない理由

 ――この世の中で、最も薬らしい薬は抗生物質である。

 ということを――

 きのうの『道草日記』で述べました。

 

 ――抗生物質

 とは――

 きのうの『道草日記』で述べた通り――

 細菌感染の薬です。

 

 ――抗菌薬

 とも呼ばれます。

 

 個人的には、

 ――抗細菌薬

 と呼びたいところですが――

 一般的な呼び名ではありません。

 

 ところで――

 感染には、細菌感染だけでなく、ウイルス感染もあります。

 

 昨今、世界を震撼させている感染症――新型コロナ・ウイルス感染症――はウイルス感染です。

 

 ――細菌感染の薬が最も薬らしい薬とのことだが、ウイルス感染の薬はどうなのか。

 と思われる向きもあるでしょう。

 

 ――ウイルス感染の薬は、なぜ「最も薬らしい薬」とはいえないのか。

 と――

 

 ……

 

 ……

 

 その答えは、

 ――ウイルス感染の薬は、それほど多く存在しないから――

 です。

 

 ウイルス感染の薬は、

 ――抗ウイルス薬

 といいます。

 

 3日前の『道草日記』で述べた、

 ――個体

 を、

 ――都市

 とみなし、

 ――個体を構成する細胞

 を、

 ――都市の住民

 とみなす比喩では、

 ――ウイルス

 は、

 ――都市の住民の脳に寄生をする虫

 に喩えられます。

 

 この比喩では、

 ――抗ウイルス薬

 は、

 ――都市の住民の脳に寄生をする虫だけを弱らせたり殺したりする毒

 に喩えられます。

 

 大切なのは、

 ――都市の住民の脳に寄生をする虫だけを――

 という点です。

 

 ――都市の住民

 には害を及ぼさず――

 その脳に寄生をしている虫だけを標的にする――

 

 そんな毒を探し出したり作り出したりすることが、どれほど大変なことか――

 

 この比喩によっても明らかであろうと思います。

 

 もちろん――

 そのような薬が存在をしないわけではありません。

 

 インフルエンザ・ウイルスの増殖を抑える薬などは、かなり有名です。

 

 が――

 そのような薬は、決してありふれた存在ではないのですね。

 

 少なくとも、抗生物質ほどには、ありふれていません。

 

 よって、

 ――抗ウイルス薬

 を、

 ――最も薬らしい薬

 とみなすことは、ためらわれるのです。