マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

“入口”も“出口”も広大――中国東北部

 ――日本列島には“入口”はあっても“出口”がなかったのではないか。

 ということを――

 きのうの『道草日記』で述べました。

 

 ここでいう「入口」とは、

 ――日本列島に来ようとする流民・移民の通り道

 で、「出口」とは、

 ――日本列島を去ろうとする流民・移民の通り道

 です。

 

 ……

 

 ……

 

 日本列島と似た地理的状況にある国ないし地域として――

 朝鮮半島があるといってよいでしょう。

 

 少なくとも新羅が統一を果たした7世紀以降の朝鮮半島は――

 日本列島と同じく、

 ――“入口”はあっても“出口”がなかった。

 とみなせるように思います。

 

 ……

 

 ……

 

 

 日本列島や朝鮮半島と違って――

 “入口”も“出口”も広く開いていたと考えられる地域があります。

 

 中国東北部です。

 現代中国の行政区画での遼寧省吉林省黒竜江省が主です。

 

 歴史的には、

 ――満州満洲

 の呼称が、しばしば用いられます。

 

 もともとは――

 この地域に暮らす民族の呼称――正確には、その呼称に漢字をあてたもの――でした。

 

 それが――

 少なくとも日本語圏では――

 民族ではなく地域の呼称として、定着をしました。

 

 この地域を何と呼ぶかは――

 実は、歴史的・国家的な主義・主張によって、まったく異なります。

 

 今は、ひとまず、

 ――満州地域

 と呼んでおくことにしましょう。

 

 ……

 

 ……

 

 “満州地域”は――

 朝鮮半島や日本列島と違って、

 ――“出口”も“入口”も広大――

 といえます。

 

 何といっても、“出口”が凄まじい――

 

 17世紀から20世紀にかけては――

 東アジアの過半を支配下に収めました。

 

 中国・清のことです。

 

 清の皇朝は“満州地域”に端を発しています。

 

 もちろん――

 “満州地域”と同じくらい――あるいは、それ以上に――広大な“入口”や“出口”をもっている地域は、中国大陸に限ったところで、他にも多くあるでしょう。

 

 が――

 “満州地域”は、地理的に近いという意味で――

 日本列島や朝鮮半島と比べる意義が大きいと考えられます。

 

 例えば――

 これら3つの地域で暮らす人々には――

 少なくとも旧石器時代くらいまで遡れば――

 多くの共通祖先が見出せるでしょう。