マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

汎症根治が「やや後ろ向き」といえる理由

 医療や医療を支える医学の目標は、

 ――不老不死

 や、

 ――汎症根治(はんしょうこんち)

 といった、非現実的で、やや後ろ向きな概念である――

 ということを、きのうの『道草日記』で述べました。

 

 ――不老不死

 が「非現実的で、やや後ろ向き」――

 というのは、よろしいかと思います。

 

 ――不老不死

 は、あきらかに自然の摂理に反しているようにみえます。

 また、時間の経過という厳然たる現実から目を背ける発想でもあります。

 

 では、

 ――汎症根治

 は、なぜ「非現実的で、やや後ろ向き」なのか――

 

 ……

 

 ……

 

 ――汎症根治

 が「非現実的」なのは――

 4月19日の『道草日記』で述べたように――

 現代医学が未だに解き明かせていない病理が山積をしている現実から目を背ける発想であるからです。

 

 喩えるなら――

 森の枯れ木や枯草を残らず探し出して引き抜こうとするかのような不毛さが――

 その発想にはあります。

 

 では――

 なぜ「やや後ろ向き」なのか――

 

 ……

 

 ……

 

 それは――

 

 ――不幸せ

 が中心の発想であるからです。

 

 ――幸せ

 とは何かには、とくに注意を払わずに――

 いきなり「病気の症状」という、

 ――不幸せ

 に着目をし――

 それをゼロにしようとする試み――

 それが、

 ――汎症根治

 の発想であるからです。

 

 よって――

 ――汎症根治

 は、厳密には、

 ――後ろ向き

 ではないのかもしれません。

 

 ――否定的

 あるいは、

 ――消極的

 あるいは、

 ――損害回避的

 といったほうが、おそらくは適切です。

 

 少なくとも、

 ――肯定的

 あるいは、

 ――積極的

 あるいは、

 ――利益獲得的

 ではないという意味で、

 ――汎症根治

 は「やや後ろ向き」といえます。