――時間旅行は実現可能である。
との仮説に基づくと――
例えば、
――過去へ旅行に出かけ、過去の自分を殺してしまったら、過去へ旅行に出かけている現在の自分は、どのように説明をされるのか。
という疑問に答えられない――
という深刻な矛盾が生じることを――
きのうの『道草日記』で述べました。
この矛盾については――
少し別の角度から考えてみると――
なかなかに面白いことに気づきます。
実は、
――過去へ旅行に出かけ、過去の自分を殺してしまったら、過去へ旅行に出かけている現在の自分は、どのように説明をされるのか。
という疑問について、
――過去
を、
――未来
に置き換えてみると――
矛盾は消えてしまうのです。
つまり、
――未来へ旅行に出かけ、未来の自分を殺してしまったら、未来へ旅行に出かけている現在の自分は、どのように説明をされるのか。
という疑問には、明確に答えられるのですね。
どういうことか――
……
……
現在の自分が未来へ旅行に出かけたら――
現在の自分は存在をしなくなります。
よって、未来の自分も存在をしなくなる――
よって、現在の自分が未来へ旅行に出かけ、未来の自分を殺す、ということは起こりえない――
よって、矛盾は生じない――
……
……
実際のところ――
自然科学が、
――実現不可能である。
といっているのは、過去への時間旅行であって――
未来への時間旅行は、むしろ、
――実現可能である。
といっています。
19世紀後半のドイツに生まれた理論物理学者アルバート・アインシュタイン(Albert Einstein)の相対性理論(the theory of relativity)によれば――
光速に近い速さで動き続けると時間の進みが遅れます。
この現象を巧く活かせば――
未来へ旅行に出かけることは可能です。
地球を飛び立ち、光速に近い速さで宇宙を飛び回った後で――
地球に戻ってくればよいのです。
――未来へ旅行に出かけることは可能である。
という設定で、いくら物語を紡いだところで――
何ら問題は生じません。
問題が生じるのは、
――過去へ旅行に出かけることは可能である。
という設定の場合だけなのです。