マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

“病的な体験”の自然治癒の過程に潜む危険性

 ――“病的な体験”の自然治癒は、神経細胞うしの“新たな接続”が生じたり、あるいは、“誤っていない接続”が強化をされたりすることによって、神経細胞うしの“誤った接続”による悪影響が徐々に薄れていく、という過程をたどるのではないか。

 ということを、きのうの『道草日記』で述べました。

 

 もちろん――

 根本的な治癒を目指すのであれば、神経細胞うしの“誤った接続”が切断をされたり、あるいは、無効化をされたりするのが最も望ましいはずです。

 

 が――

 残念ながら、実際の脳を含む神経系では、そうはなっていないようである――

 ということなのですね。

 

 この“病的な体験”の自然治癒の過程は――

 少し考えれば、すぐにわかるように――

 実に深刻な危険性を孕(はら)んでいます。

 

 それは、

 ――新たな接続

 の代替や、

 ――誤っていない接続

 の強化が――

 脳を含む神経系の働きを、かえって酷く乱しかねない――

 という危険性です。

 

 そもそも、

 ――誤った接続

 をそのままに、

 ――新たな接続

 の代替や、

 ――誤っていない接続

 の強化によって、

 ――誤った接続

 の害を二次的に薄めていく、という“戦略”をとっているわけですから――

 少なくとも、

 ――根本的な治癒

 という観点からいえば――

 それは、明らかに、

 ――邪道

 です。

 

 おそらく――

 今日のヒトの遺伝情報が、“病的な体験”の自然治癒の過程に、何らかの制約を課していて――

 その制約の下では、

 ――誤った接続

 の切断や無効化が簡単には起こせないようになっているのでしょう。

 

 つまり――

 ヒトの神経系の進化は、

 ――新たな接続

 の代替や、

 ――誤っていない接続

 の強化という“戦略”を、あくまでも次善の策として、採り入れてきたのであろう――

 ということです。