マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

“病的な体験”を和らげるとされる薬剤は、いかに神経細胞に作用をするか

 ――“病的な体験”を和らげるとされる薬剤

 は、主に、

 ――神経細胞(nerve cell)どうしの接続の部分

 に対して一時的な作用をすることが、ほぼ確実にわかっている――

 ということを、きのうの『道草日記』で述べました。

 

 この“接続の部分”は、英語では、

 ――Synapse

 と呼ばれます。

 

 日本語では、カタカナ語で、

 ――シナプス

 と表記をされるのが一般的ですが――

 僕は、12月8日の『道草日記』で述べたように、「シナプス」というカタカナ語が好きではないので、

 ――接合部

 と呼ぶことにしています。

 

 神経細胞の接合部では、多くの場合に、

 ――神経伝達物質(neurotransmitter)

 という物質が重要な役割を担っています。

 

 神経細胞の接合部は、互いに完全に接合をしているわけではなくて――

 そこには僅かな隙間があります。

 

 神経細胞の状態が変化をすると、その隙間に神経伝達物質が放出をされ――

 その物質が、共に接合部を成している別の神経細胞によって受容をされることで、その神経細胞に状態の変化が伝播をするのです。

 

 ――“病的な体験”を和らげるとされる薬剤

 の多くは、接合部の隙間に放出をされる神経伝達物質が受容をされる部分に作用をすると考えられています。

 神経伝達物質が受容をされないようにしたり、受容をされにくくなるようにしたりする、と――

 

 つまり、

 ――“病的な体験”を和らげるとされる薬剤

 は、神経細胞の状態の変化を伝えづらくしているわけです。

 

 ただし――

 薬剤によって影響を受ける部分は限定的です。

 

 ある特定の種類の神経伝達物質が受容をされる部分だけに作用をするのですね。

 神経伝達物質というのは1種類ではなくて、何種類もあるのです。

 

 よって、

 ――“病的な体験”を和らげるとされる薬剤

 は、神経細胞の状態の変化を全面的に伝えづらくしているのではなくて――

 限定的に伝えづらくしている、と考えられます。

 

 また、

 ――“病的な体験”を和らげるとされる薬剤

 は、一定の期間が経つと――多くは 1 ~ 3 日くらい経つと――体の中にある他の物質と化学反応を起こすなどして、他の物質へ変化をしてしまいます。

 

 よって、

 ――“病的な体験”を和らげるとされる薬剤

 が神経細胞の状態の変化を限定的に伝えづらくするのは、永続的ではなくて――

 一時的であると考えられるのです。