マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

“病的な体験”を和らげるとされる薬剤の“ジワジワと強まる効果”の説明

 ――“病的な体験”を和らげるとされる薬剤については、その薬剤を 30 ~ 100 日くらい毎日、飲み続けることで、ジワジワと効果が強まってくるらしいことが知られている。

 ということを、きのうの『道草日記』で述べました。

 

 この“ジワジワと強まる効果”については――

 様々に説明をすることができます。

 

 最も単純な説明は、

 ――毎日、飲み続けることで、薬剤が体の内部に溜まっていくために、効果がジワジワと強まってくる。

 というものです。

 

 が――

 たんに体の内部に溜まってくるだけならば、30 日もかからない薬剤がほとんどなのですね。

 

 それよりも少ない日数で十分に溜まってきていて、ほぼ一定の量になっていると考えられます。

 

 よって――

 体の内部に薬剤が溜まってくることだけで“ジワジワと強まる効果”の説明をすることは、ちょっと難しいのです。

 

 では――

 他に、どのように説明をすることができるか。

 

 例えば、次のような説明が可能です。

 

 ――薬剤が体の内部に十分に溜まってきて、脳を含む神経系へ直接的に作用をするようになってからしばらくが経って、脳を含む神経系に間接的な作用がもたらされるようになる。

 

 この説明は――

 12月27日の『道草日記』で述べた、

 ――“病的な体験”は“神経単位(neuron)”の異常な“配線”で起こる正常な“演算”ではないか。

 という考え方に照らしますと――

 次のように書き換えられます。

 

 ――薬剤が体の内部に十分に溜まってくると、まず“神経単位”の“演算”の過剰な稼働が抑えられ、次いで“神経単位”の“配線”が不完全ながらも自然治癒を起こす。

 

 つまり、“病的な体験”を和らげるとされる薬剤は、“演算”を強引に抑え込むことで、“配線”が自然に直り出すのを促している、ということです。

 

 なお――

 ここでいう、

 ――神経単位

 とは――

 12月16日の『道草日記』で述べた通り、

 ――神経細胞(nerve cell)

 のことではなく、

 ――その神経系の持ち主によって「1つ」と主観的に認識をされうる体験の発生に関わる全ての神経細胞の集合

 のことです。