――ロシア政府も中国政府も北大西洋条約機構の軍門に簡単には降るまい。
ということを、きのうの『道草日記』で述べました。
その理由は――
ロシア政府も中国政府も、
――大国意識
をもっているから――
ということは、きのうの『道草日記』で述べた通りです。
が――
この理由は、かなり、
――原始的かつ感情的
であり――
実際には、もう少し、
――現代的かつ理知的
な理由があるのです。
もちろん――
国家も、しょせんは人の組織ですから、
――原始的かつ感情的
な理由を侮ることはできません。
が――
それと同じくらいに、
――現代的かつ理知的
な理由を侮ることもできないでしょう。
――現代的かつ理知的
な理由とは何か――
……
……
思いっきり簡単にいってしまうと――
それは、
――北大西洋条約機構
が、
――民主主義国家の陣営
によって主導をされているから――
という理由です。
ロシア政府も中国政府も、表面的にはともかく、実質的には、あきらかに権威主義国家です。
よって――
自分たちが、あえて民主主義国家の陣営が主導をしている条約機構に加わることによって――
体制が権威主義から民主主義へと転換をされてしまうのが恐ろしいのでしょう。
この恐れは――
一見したところ――
権威主義国家の首脳部に今、座を占めている者たちの、
――利己的な恐れ
なのですが――
それなりの合理性が見出せないこともありません。
歴史を紐解けば――
権威主義から民主主義への転換には膨大な流血が伴いました。
17世紀のイギリス革命――
18世紀のフランス革命――
18世紀のアメリカ独立戦争――
しかも――
1回きりの転換で済むことは稀であり――
たいていは何回かの揺り戻しが起こるのです。
その過程で――
流血が繰り返される――
そうした惨事を避けるために、
――体制の転換は、ひとまずは避ける必要がある。
との主張には一定の合理性があるのです。