マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

ロシアに対し、そこはかとなく尊敬の念を抱いていた

 ロシアが、現在のロシア政府の最高指導者によって統治をされ始めて以降――

 ほかの国から尊敬の念を抱かれたことがあったであろうか――

 ということを考えます。

 

 畏怖の念を抱かれたことはあるでしょう。

 

 親和の情を抱かれたこともあるでしょう。

 

 が――

 尊敬の念を抱かれたことが、はたして、あったのか――

 

 ……

 

 ……

 

 ほかの国から尊敬の念を抱かれるには――

 これまでに、いかなる国も挑んだことがない革新的かつ魅力的な課題に取り組んで、かつ一定の成果を収めることが必要です。

 

 現在のロシア政府の最高指導者によってロシアが統べられてから――

 ロシアは、国として、そのような課題に何か1つでも取り組んできたのでしょうか。

 

 現在のロシア政府の最高指導者が取り組んできた課題は、

 ――ソビエト連邦の再生

 あるいは、

 ――ロマノフ朝ロシアの復活

 でしょう。

 

 ソビエト連邦ロマノフ朝ロシアも――

 どちらもロシア発の帝国です。

 

 ソビエト連邦は20世紀のユーラシア大陸の広域を、ロマノフ朝ロシアは18世紀から20世紀のユーラシア大陸の広域を、その支配下に組み込みました。

 

 そのような、

 ――帝国の再生ないし復活

 という課題は、まったく目新しい課題ではなく――

 むしろ、誰もが思いつく平凡な課題であり――

 また、ロシア以外の人々にとっては、特段の関心を抱けない課題であって、場合によっては、とんでもなく迷惑を被る課題でもあるのです。

 

 そのような課題に、現在のロシア政府の最高指導者が掛かりきりになっている限りは――

 ロシアが他国から尊敬の念を抱かれることは、

 ――まず、ない。

 と、いってよいでしょう。

 

 実をいえば――

 そのような課題に、現在のロシア政府の最高指導者が掛かりきりになっていたという事実は――

 今回のロシア政府によるウクライナ戦争が勃発をするまで――

 世界中の多くの人々が気づきませんでした。

 

 少なくとも僕自身は――

 まったく気づいていませんでした。

 

 気づいていなかったものですから――

 僕などは、ロシアに対し、そこはかとなく尊敬の念を抱いていました。

 

 何といっても、あの国は――

 レフ・トルストイフョードル・ドストエフスキーの文芸を生んだ国であり、ピョートル・チャイコフスキーモデスト・ムソルグスキーの音楽を生んだ国であるのです。

 

 また、僕にとっては――

 生命の起源に化学進化説で迫ったアレクサンドル・オパーリンを生んだ国であり、宇宙文明の発展段階を示す尺度という概念を捻り出したニコライ・カルダシェフを生んだ国であるのです。

 

 散逸構造論を唱えたイリヤ・プリゴジンも、実はロシアの出身であり――

 4歳のときに両親に連れられて、ベルギーへ移住をしたのでした。