マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

アメリカ独立戦争:アメリカでは、そうは呼ばれない

 18世紀後半のアメリカ独立戦争は――

 独立を求める側が、独立を許さない側に対し、先に暴力に訴え――武力を用い――独立を認めさせる実力行使に出たために――

 今日、物語の題材とは、なりにくくなっているのではないか――

 ということを、きのうの『道草日記』で述べました。

 

 この、

 ――先に暴力に訴え――

 という側面があるために――

 アメリカ独立戦争は、物語の題材として、広く人々の共感を得るのが難しい――

 ということです。

 

 いかなる理由があろうとも――

 自ら進んで戦争に――人と人との殺し合いに――持ち込もうとするような人々に親しみや哀れみを覚えるのは、なかなかに難しいことです。

 

 だからでしょうか。

 

 当事国のアメリカでは――

 アメリカ独立戦争は、今日、

 ――American Revolution

 と呼ばれているのだそうです。

 

 日本語に訳せば、

 ――アメリカ革命

 ですね。

 

 一方――

 もう一つの当事国であるイギリスでは、

 ――American War of Independence

 という呼称が好まれている、といいます。

 

 日本語に訳せば、

 ――独立アメリカ戦争

 と、いったところでしょうか。

 

 つまり――

 

 ――アメリカ独立戦争

 には、

 ――戦争

 以外にも、

 ――革命

 の要素があり――

 

 少なくとも今日のアメリカでは――

 その、

 ――革命

 の要素を際立たせることによって、

 ――戦争

 の要素が、あまり目立たなくなるように配慮がなされているらしい――

 ということです。

 

 このような配慮の理由は、よくわかります。

 

 おそらく、

 ――独立を求めた自分たち側が、先に手を出してしまった。

 という歴史的経緯に――

 多少なりとも後ろめたさが感じられるからです。