――“超国家共同体”の最高指導者は名誉職も同然かもしれない。
ということを、きのうの『道草日記』で述べました。
より厳密には、
――“超国家共同体”の行政権の統括者に与えられる裁量は、現代に実在をしている国家の行政権の統括者に与えられている裁量ほどに大きくはない。
ということです。
ここでいう、
――行政権
とは、
――国家を治める権利(統治権)
から、
――立法権
および、
――司法権
を除いた権力の総称です。
――超国家共同体
では、現代に実在をしている国家と違って――
行政権よりも、立法権や司法権のほうが、重視をされるでしょう。
その理由は――
きのうの『道草日記』で述べた通り、
――超国家共同体
は、地球上で唯一の組織であるために――
現代に実在をしている国家と違って――
例えば、競争原理が働かないからです。
――超国家共同体
では――
この共同体に所属をする人々の生活をいかに豊かで安らかにしていこうか、という動機よりも――
この共同体に適用をされる法をどのように定め、あるいは変えていこうか、という動機や、ひとたび起こってしまった紛争をどのように治めていこうか、という動機のほうが、強く働くはずです。
よって、
――超国家共同体
においては、行政権の統括者よりも、立法権や司法権の統括者のほうが、より大きな裁量を与えられているように感じられるでしょう。
――“超国家共同体”の最高指導者は名誉職も同然かもしれない。
というのは、
――“超国家共同体”では、最高指導者よりも、最高会議長や最高裁判長のほうが実質的な影響力を備える。
ということです。
もう少し卑近な表現を採れば、
――“超国家共同体”では、自分の能力に自信のある野心家は、行政のトップではなく、立法や司法のトップを目指すであろう。
ということです。