人を大切にあつかう方法について、
――絶対(ぜったい)の正解(せいかい)がない。
ということを知るために――
人は親孝行(おやこうこう)をしているのではないか――
と、きのう、のべました。
……
……
もう少し、わかりやすく、いいかえてみます。
……
……
今、Aさんがいて――
BさんとCさんとの二人を大切にあつかいたいと考えている――
としましょう。
このときに――
AさんがBさんを大切にあつかう方法と――
AさんがCさんを大切にあつかう方法とは――
同じではないのです。
Bさんを大切にあつかう方法は――
Bさんが、どういう人かで、決まります。
また――
Cさんを大切にあつかう方法は――
Cさんが、どういう人かで、決まります。
あるいは――
今、AさんとBさんとがいて――
二人とも、Cさんを大切にあつかいたいと考えている――
としましょう。
そのときに――
AさんがCさんを大切にあつかう方法と――
BさんがCさんを大切にあつかう方法とは――
同じではないのです。
AさんがCさんを大切にあつかう方法は――
それまでに、AさんがCさんと、どのような関係をきずいてきているかで、決まります。
また――
BさんがCさんを大切にあつかう方法は――
それまでに、BさんがCさんと、どのような関係をきずいてきているかで、決まります。
……
……
このように――
人を大切にあつかう方法というのは――
とても複雑(ふくざつ)なのですね。
その複雑さを――
人は、自分の親に対して、実際(じっさい)に親孝行をしてみることで――
初めて思い知ります。
例えば――
父親への親孝行と――
母親への親孝行とは――
ちがうということを――
あるいは――
自分の親孝行と――
兄弟姉妹の親孝行とは――
ちがうということを――
……
……
こうした複雑さと丁寧(ていねい)に向きあわなければならない、ということが、
――人を大切にあつかうことの大切さ
です。
『10 歳の頃の貴方へ――』