マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

人と人との関係は親子関係と同じではない

 人と人との関係は、“親孝行(おやこうこう)”の段階(だんかい)の親子関係よりも3倍くらい複雑(ふくざつ)である――

 と、きのう、のべました。

 

 それゆえに、

 ――親孝行

 の段階の親子関係は、人と人との関係を学ぶ上で、とてもよい教材である――

 といえるのです。

 

 ところで――

 

 ……

 

 ……

 

 人と人との関係について、望ましい在(あ)り方というは、どのような在り方なのでしょうか。

 

 それは、

 ――親孝行

 の段階の親子関係について、望ましい在り方が、どのような在り方を考えることで、よくわかります。

 

 ――親孝行

 の段階の親子関係の望ましい在り方というのは――

 当然のことながら、

 ――子どもによって親孝行が十分になされている様子

 です。

 

 ――親孝行

 とは、

 ――親を大切にあつかうこと

 ですから――

 

 ――子どもによって親孝行が十分になされている様子

 は、

 ――子どもによって親が大切にあつかわれている様子

 と、いいかえてよいでしょう。

 

 よって――

 人と人との関係の望ましい在り方というのは、

 ――人によって人が大切にあつかわれている様子

 といえます。

 

 では――

 

 この、

 ――人によって人が大切にあつかわれている様子

 というのは、

 ――子どもによって親孝行が十分になされている様子

 あるいは、

 ――子どもによって親が大切にあつかわれている様子

 と同じなのでしょうか――

 それとも、ちがうのでしょうか。

 

 みなさん――

 わかりますか。

 

 ……

 

 ……

 

 実は――

 おおまかには同じであるけれども、くわしくみていくと、ちょっとちがいます。

 

 ――子どもによって親が大切にあつかわれている様子

 が、

 ――子どもによって親孝行が十分になされている様子

 と同じなのは――

 親は、ふつう子どもと、

 ――仲良くしたい。

 と思っているものであるからです。

 

 ところが――

 

 人は、ふつう人と、

 ――仲良くしたい。

 と思っている――

 ということはありません。

 

 ある人とは、

 ――仲良くしたい。

 と思っていても――

 別のある人とは、

 ――仲良くしたくない。

 と思っているものであり――

 

 また、

 ――どちらでもない。

 と思っている人は――

 ふつうは、とても多いのです。

 

 むしろ、

 ――仲良くしたい。

 と思っている人や、

 ――仲良くしたくない。

 と思っている人よりも、はるかに多い――

 

 よって、

 ――人によって人が大切にあつかわれている様子

 というのは、

 ――子どもによって親が大切にあつかわれている様子

 とは、少なくとも表面的には、ちがいます。

 

 人と人との関係は親子関係と同じではないから――“親孝行”の段階の親子関係と同じではないから――です。