脳(のう)の内部における、
――大量の“電気の信号”のやりとり
の起こり方について、
1)信号は、他の信号と合わさることで、増(ふ)えたり減(へ)ったりする。
2)信号は、他の信号から影響(えいきょう)を受けることで、強くなったり弱くなったりする。
3)いったん信号が伝わったところは、その後で、他の信号が伝わりやすくなる。
4)信号は、ダラダラと伝わりつづけることはなく、一度は必ず途(と)ぎれる。
と4つのルールのようなものがあるのではないかと――
きのうまでに、のべてきました。
これら4つのルールのようなものは――
ぼくらの実際(じっさい)の脳で起こっていることに見てとれるルールに――「完全に正しく当てはまる」というわけではないにせよ――だいたいは当てはまります。
ほかにも、同じようなルールのようなものを挙げることはできますが――
今は、ぼくらの実際の脳について、のべることが目的ではなく――
その脳によって作られた算数・数学について、のべることが目的です。
そもそも、
――算数・数学が脳によって作られる。
とは、どのような意味でしょうか。
さらにいえば――
――ぼくらが小学生のころから馴(な)れ親しんでいる算数・数学
とは、どのようなもので、
――ぼくらが小学生のことから馴れ親しんでいる算数・数学とは全く違う在(あ)り方の算数・数学
とは、どのようなものなのでしょうか。
……
……
11月27日に、ぼくは次のように、のべました。
脳の内部における、
――大量の“電気の信号”のやりとり
の起こり方のルールのようなものが、文字や数字や記号を使って具体的に示(しめ)されていて――
その示されているものこそが、
――算数・数学の在り方
である――
と――
……
……
ここでいう、
――大量の“電気の信号”のやりとり
の起こり方のルールのようなものとしては――
例えば、
1)信号は、他の信号と合わさることで、増えたり減ったりする。
2)信号は、他の信号から影響を受けることで、強くなったり弱くなったりする。
3)いったん信号が伝わったところは、その後で、他の信号が伝わりやすくなる。
4)信号は、ダラダラと伝わりつづけることはなく、一度は必ず途ぎれる。
が挙げられ――
これらが――正しくは「これらの一部が」――文字や数字や記号を使って具体的に示されたものとして、
2 + 3
2 × 3
や、
―― 2 × 3 は 2 + 2 + 2 とも 3 + 3 とも同じ意味であるから、2 × 3 と記しても 3 × 2 と記しても同じである。
などの、
――算数・数学の在り方
が挙げられます。
一方で――
もし、
1)信号は、他の信号と合わさることで、増えたり減ったりする。
2)信号は、他の信号から影響を受けることで、強くなったり弱くなったりする。
3)いったん信号が伝わったところは、その後で、他の信号が伝わりやすくなる。
4)信号は、ダラダラと伝わりつづけることはなく、一度は必ず途ぎれる。
の代わりに、
5)信号は、増えたり減ったりせず、いつでも一定の量に保たれている。
6)信号は、強くなったり弱くなったりせず、いつでも一定の強さである。
7)いったん信号が伝わったところは、しばらく他の信号が伝わりにくい。
8)信号は、とうとうと伝わりつづけて、完全に途ぎれることはない。
が挙げられるのであれば――
これらのルールのようなものが、文字や数字や記号を使って具体的に示されたものは――
ぼくらが小学生のころから馴れ親しんでいる算数・数学とは全く違う在り方をしているはずです。
――算数・数学が脳によって作られる。
とは――
そのような意味です。
『10 歳の頃の貴方へ――』