ぼくらは、たった 1 種類の脳(のう)しか知らず、また、たった 1 種類の算数・数学しか知らないために――
――算数・数学は“脳の窓(まど)”である。
といわれても、ピンとこない――
と、きのう、のべました。
それは――
さながら、
――たった 1 種類の家しかなく、また、たった 1 種類の窓しかない世界にいて、家の窓の役割(やくわり)を考えるようなことである。
と――
……
……
――たった 1 種類の家しかなく、また、たった 1 種類の窓しかない世界――
というのは――
家は 1 種類だけで、それらの家は、どれも同じ大きさ・形をしていて、しかも、どれにも同じような窓がついている世界――
ということです。
その世界では――
家に窓があることを家それ自体があることや窓それ自体があることから分けて考えることができずに――
例えば、
――「家」といえば窓――
――「窓」といえば家――
であり――
そのために――
例えば、
――窓のない家
などは思いうかべることさえ難(むずか)しいはずです。
よって、
――なぜ家には窓がついているのか。
と、ふしぎに思うことも難しく――
ましてや、
――そもそも、家の窓には、どのような役割があるのか。
ということを疑問(ぎもん)に思うことも難しくなっているはずです。
もちろん――
そのような世界であっても――
家の窓は、
――家の中から外の様子をうかがう。
とか、
――家の中に明かりを入れる。
とか、
――家の中に風を通す。
とか――
いろいろな役割を果たしているはずですが――
窓のない家というものをだれもみたことがないので――
例えば、窓が家になければ、どうなるのか、ということが、よくわからず――
そのために、
――家の窓の役割
が、わかりづらくなるでしょう。
おそらく、
――家の役割
と、しばしばゴッチャにされるのです。
『10 歳の頃の貴方へ――』