脳(のう)にとって――
算数・数学が、
――窓(まど)
であるならば――
――光
は、
――言葉の意味
である――
と、きのう、のべました。
一方で、
――風
が、
――数や形に関わる情報(じょうほう)
であることは――
12月8日に、のべた通りです。
また、
――音
が、
――人の気持ち
であることは――
12月21日に、のべた通りです。
このように、のべると――
――算数・数学は本当に脳にとって窓なの?
と、ふしぎに思う人が出てくるでしょう。
――たしかに、窓は光や風を通すけれども、音も伝えるではないか。窓を開ければ物音が聴(き)こえてくる、ということは、算数・数学は“言葉の意味”や“数や形に関わる情報”だけでなく、“人の気持ち”も伝えるということになる。そんなことがありうるのか。
と――
……
……
実は、
――ありうる。
といえるのです。
算数・数学であっても――
人の気持ちは、ちゃんと伝えられます。
例えば、
1 + 2 + 3 + 4 + 5 + 6 + 7 + 8 + 9 + 10
の計算を考えてみましょう。
むずかしい計算ではありませんね。
1 + 2 = 3
3 + 4 = 7
5 + 6 = 11
7 + 8 = 15
9 + 10 = 19
として、
3 + 7 = 10
11 + 15 = 26
として――
最後に、
10 + 26 + 19 = 55
とすれば――
計算は終わりです。
この計算を、
1 + 2 + 3 + 4 + 5 + 6 + 7 + 8 + 9 + 10
ではなく――
少し順番だけを変えて、
1 + 10 + 2 + 9 + 3 + 8 + 4 + 7 + 5 + 6
としたら――
どうでしょうか。
1 + 10 = 11
2 + 9 = 11
3 + 8 = 11
4 + 7 = 11
5 + 6 = 11
として、
11 + 11 + 11 + 11 + 11 = 55
と計算をすることができますね。
このときに――
あなたの気持ちに、何か変化はありませんか。
1 + 2 + 3 + 4 + 5 + 6 + 7 + 8 + 9 + 10
と計算をするときと、
1 + 10 + 2 + 9 + 3 + 8 + 4 + 7 + 5 + 6
と計算をするときとの――
あなたの気持ちの違(ちが)いです。
……
……
ありますよね。
1 + 2 + 3 + 4 + 5 + 6 + 7 + 8 + 9 + 10
の計算では、
――めんどくさぁい!
と思い――
1 + 10 + 2 + 9 + 3 + 8 + 4 + 7 + 5 + 6
の計算では、
――わぁ、らくちん!
と思う――
その違いこそが――
算数・数学でも、ちゃんと人の気持ちを伝えられる――
ということを示(しめ)しています。
『10 歳の頃の貴方へ――』