――算数・数学でも人の気持ちは伝えられる。
と、きのう、のべました。
これ――
けっこう大切なことだと思っています。
少なくとも――
あなたが算数ぎらいや数学ぎらいにならないためには――
とても大切なことです。
……
……
算数ぎらいや数学ぎらいの人は、
――算数・数学は数や形のことばかりで、つまんない。私は人や人の心に関心があるのに!
と考えがちです。
たしかに――
算数・数学では、人の気持ちを直接的(ちょくせつてき)に扱(あつか)うことは、ほとんどありません。
それは――
音を伝えるために窓(まど)をあけることが、ほとんどないのと同じです。
音を伝えるときには――
ふつうはマイクやスピーカーなどの、
――伝音装置(でんおんそうち)
を使うわけです。
が――
音は、窓をあけても、伝わるのですね。
その“窓”を通して聴(き)こえてくる“音”に関心をもつだけで――
算数・数学への見方は、がらりと変わります。
――算数・数学って、こんなにも人の気持ちを伝えていたのか!
ということがわかるようになり――
その結果、がぜん、
――もっと勉強してみよう!
と思えるようになるのです。
……
……
実は――
ぼくは、みなさんくらいの年令までは――
算数・数学が苦手でした。
苦手であるだけでなく――
きらいでした。
――算数・数学でも人の気持ちを伝えられる。
ということがわからずに――
――算数・数学は、人や人の心に関心がない人たちが好きになる教科に違(ちが)いない。
と思いこんでいました。
そのうちに――
どういうわけか算数・数学が苦手ではなくなってきたのですが――
それでも――
きらいであることには変わりがなくて――
たぶん、17 ~ 18 才くらいまでは、きらいだったんじゃないかな。
ぼくが算数・数学のことを本当に好きになったのは――
そろそろ 20 才になろうか、というころです。
なぜ、好きになったのか。
――算数・数学でも人の気持ちは伝えられる。
ということが、よくわかったからです。
『10 歳の頃の貴方へ』