次に示(しめ)す算数・数学の問題について――
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問題1
一辺の長さが 10 cm の正方形ABCDがある。ただし、点A、B、C、Dは反時計回りに並(なら)んでいる。いま、辺ABの中点をE、辺DAの中点をFとし、点Dと点Eとを結ぶ線と点Cと点Fとを結ぶ線との交点をGとする。このとき、三角形BCGの面積を求めよ。
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この問題の解(と)き方には――
直角三角形AEDを時計回りに 90 ° 回転させると、直角三角形DFCと同じ向きになることに目をつけた解き方のほかに――
角AEDの大きさを「〇」で表し、角ADEの大きさを「✕」で表して、
〇 + ✕ = 90 °
であることに目をつけた解き方もある――
と、きのう、のべました。
きょうは――
これら2つの解き方とは、また違(ちが)った解き方もあることをのべましょう。
それは、いったい、どんな解き方かと、いいますと――
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辺DEについて、点Eから、点Dと反対の方へ線をのばし――
辺BCについて、点Bから、点Cと反対の方へ線をのばし――
これら2本の線が交わる点をHとすると――
三角形GFDと三角形GCHとは、たがいに同じ形・違う大きさの三角形であるとわかる――
よって――
辺FDの長さが 5 cm で、辺CHの長さが 20 cm であるから――
三角形GCHは三角形GFDの 4 倍の大きさであるとわかる――
よって――
辺FGと辺GCとの長さの比が 1 : 4 であるとわかるので――
三角形BCGは長さ 10 cm の辺BCを底辺とし、長さ 10 cm の辺CDの 5 分の 4 を高さとする三角形であるとわかる――
よって――
三角形BCGの面積は、
10 ×(10 × 4/5)÷ 2
= 40 cm^2
とわかる――
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この解き方のポイントは――
三角形GFDと三角形GCHとが、たがいに同じ形・違う大きさの三角形であることに目をつけることです。
これら2つの三角形は、たがいに同じ形・違う大きさであるだけでなく、ちょうど 180 ° 向きが違うので――
あたかも砂時計(すなどけい)のようにみえます。
よって――
この解き方を、
――「砂時計」型(がた)
と呼(よ)びましょう。
また――
きのう、のべた――
角AEDの大きさを「〇」で表し、角ADEの大きさを「✕」で表して、
〇 + ✕ = 90 °
であることに目をつけた解き方を、
――「〇 + ✕ = 90 °」型
と呼び――
おととい、のべた――
直角三角形AEDを時計回りに 90 ° 回転させると、直角三角形DFCと同じ向きになることに目をつけた解き方を、
――「90 ° 回転」型
と呼びましょう。
つまり――
問題1には、
――「90 ° 回転」型
と、
――「〇 + ✕ = 90 °」型
と、
――「砂時計」型
との――
少なくとも3つの解き方がある――
ということです。
『10 歳の頃の貴方へ――』