小説書きには、2種類あると思っている。
物語を、外から描く人と、内から描く人と――である。
外から描くとは――3人称で書くと、ほぼ同義――
内から描くとは――1人称で書くと、ほぼ同義――である。
八尋さんは――
たぶん、内から描く人だ。
僕は、八尋さんの小説が、好きである――とくに、1人称小説が――
*
八尋さんとは、たしか去年の初夏に、当サイトの掲示板にお書き込み頂いたのが、最初だったと記憶している。
以後、何度もお書き込み頂いている。
『客間』にリンクも張らせて頂いた。
*
いま調べたら、去年の4月5日だった。
初夏ではなく、春だったらしい。
ホームページのアドレスを残していかれたので――
翌日くらいに、お邪魔したはずだ。
そうしたら――
ずいぶん小説をお書きになっている。
当時、50点ほどの作品が掲載されていた。
50点もあると、困ってしまう。
何から読もうかと見渡していると――
気になるタイトルがあった。
――墜ちる。
というタイトルである。
読んでみた。
面白い。
物書きの覚悟が漲っていた。
並の覚悟ではないと思った――とくに女性にとっては――
八尋さんは女性である。
だから、『墜ちる。』も女性らしい筆致ではあるのだが――
それでいて――
そんなに女性らしくはない物語が紡がれている。
そういう意味では、結構、悩ましい方だ。
*
――八尋さんは女性である。
と断言した。
たしかに相違ない。
一昨日、御本人とお会いしてきた。
案の定、男性に間違われることが、おありらしい。
僕は最初から女性だと確信していたのだが――
それでも――
ブログなどから想像される八尋さんは、ボーイッシュでクールなキャリアウーマンのイメージだった。
実際には、温かで女性的な笑みが印象的な方だ。
『墜ちる。』をお書きになった方とは、ちょっと思えぬ。
しっとりした知性を感じさせる。