マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

他者との対話に重きを置く

 人間の一番やっかいな点は、

 ――みたいと思うものしか、みえない。

 ということではなかろうか。

 自分がみたくないものは――
 たとえ、それが目の前に置かれても――
 みえなかったりするのである。

 人間は過ちを犯す生き物だが――
 その根本は、たぶん、

 ――みたいと思うものしか、みえない。

 に由来する――
 それが全てではないにせよ――

 だから――
 人間は、他者との対話を欠かさないほうがよい。

 他者は、自分がみたいとは思わないものも、みせてくれる。

 他者との対話に重きを置けば――
 自分がみたいと思うものだけに囲まれた暮らしから抜け出すこともできるかもしれない。

 が――
 特にみたいとは思わないものを強いてみせられることは、誰にとっても愉快なことではあるまい。

 しばしば対話嫌いの人をみかけるが――
 そういう人々の気持ちは、よく理解できる。

 自分がみたいと思うものだけに囲まれた暮らしというのは、実に気楽で安らかだ。

 もっとも――
 そういう安寧は、ある日、突然に破られる。
 人間が人間の社会で暮らす以上、その危険は避けられない。

 そして――
 その痛みは、実際に経験した者にしかわからない。

 それを体験した者だけが、敢えて、他者との対話に重きを置く気になる。

 人間が自ら犯す過ちの害から少しでも自由になるためには――
 それを、なるべく若いうちに体験しておくことが必要である。