マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

物語のヒロインが放つ色気

 物語のヒロインが色気を放つためには――
 まず、その物語が緊張感で漲(みなぎ)っており――
 かつ、その緊張感に、物語のヒロインが相乗しなければならない――
 と思っている。

 物語が緊張感で漲っているとは――
 簡単にいえば――
 物語の受け手を、何らかの形で切迫させている、ということである。

 その切迫感は、一般には、

 ――ハラハラ、ドキドキ

 に代表されるような感覚だ。

 その感覚の対象に――
 物語のヒロインが深く関わっていれば――
 物語のヒロインが放つ色気というものは、がぜん深みを増す。

 ――物語のヒロインが緊張感に相乗する。

 とは、

 ――物語の緊張感がヒロインの行動や思索によって具現化されている。

 という意味である。

 以上は男の視点だ。
 女性の視点では、かなり違った見解になろう。

 が、僕は男なので――
 そちらのことは、よくわからない。

 とにかく――
 安っぽい物語のヒロインが色っぽくないのは――
 物語に緊張感がないからである。

 物語の本筋に絡まないヒロインが色っぽくないのは――
 ヒロインが緊張感に相乗しないからである。

 つまり――
 物語のヒロインが深みのある色気を放つかどうかということと――
 物語のヒロインの造形が視覚的に色っぽいかどうかということとは――
 基本的には無関係である――
 そう思っている。