どんなにイヤなことがあっても――
誰か人と話をしていれば――
それなりに気分が落ち着いてくるものである。
少なくとも、僕はそうだ。
誰か人と話をしているとき――
僕は、無心になれる。
――どうしたら、この人との今の会話を十分に楽しむことができるのか。
それだけに、思考を集中することができる。
もちろん――
会話の相手が腹黒い人間の場合には、警戒も必要だ。
少なくとも、
――無心
は危険であろう。
いつ何時、奸計に嵌(は)められてしまうか、知れたものではない。
会話を十分に楽しむどころの話ではなくなってしまう。
が――
そんな相手と話をする機会は、稀である。
たいていの場合は――
相手も、自分との会話を楽しみたいと思っているものだ。
人を信じる――
ただ、それだけである。
信じてダマされるほうが、疑ってダマすよりは、マシではないか。
何かイヤなことがあったときに――
誰かを疑い、その人をダマしてしまったら――
ますます気分は落ち込んでくる。
気分が落ち込むのは、つらい。
よいことは何もない。
自分の気分を落ち込ませたくなかったら――
人を信じることである。
人の善意を信じることである。