人は、何のために結婚をするのだろうか。
考えれば考えるほどに、みえなくなる。
*
結局――
結婚することに意味などはない――
少なくとも、そう考えることが、僕には一番しっくりくる。
たしかに、
――助け合って生きていくために――
とか、
――子供を作って育てるために――
とかと、もっともらしい理由を探すことはできる。
が――
結婚相手以外とだって、助け合わねばならないし――
結婚したって、首尾よく子宝を授かるとは限らない。
共生や養育に結婚の意味を見出すことは――
結婚の本質的な目的からは、遠い気がする。
では、結婚の本質的な目的とは何なのか。
――結婚すること、それ自体――
というのが――
現時点での僕の答えである。
よく、
――議論のための議論は無意味だ。
などと注意されたりするものだが――
結婚のための結婚は、存外、無意味ではない。
むしろ、そこにこそ――あるいは、そこにのみ――結婚の意義を見出せるのではなかろうか。
――いつも一緒にいたいと思うこと――
それが結婚である。
*
当然ながら――
いつも一緒にいたいと思う相手は――
人間である。
男である前に、人間であり――
女である前に、人間である。
いや――
より優等生的には――
男であると同時に人間であり――
女であると同時に人間である。
だから――
幸福な結婚をするためには――
まず人間好きであらねばならない。
人間嫌いに結婚は難しい。