時々、
(所詮、この世は仮住まい――)
と思うことがあります。
――この世で何事を成しても、所詮は仮のことであり、あの世に旅立つときには、それら成就は、まったく関係がない。
ということです。
つまり――
ある種の虚しさですよね。
仮住まいの家を自費で豪勢に改築しても、何となく虚しいでしょう。
いずれ余所(よそ)に移るときには、せっかくの改築も意味がないのですから――
それと同じです。
が――
いくら仮住まいとはいえ、住んでいる以上は、そこに暮らしがあるわけで――
その暮らしを少しでも豊かにしようと努力することは無意味ではありません。
今が仮住まいであることを忘れさえしなければ、万事、そんなに虚しくはありません。
要するに、「虚しさ」というのは、
――永遠の命を手にしたかのような暮らし方は、愚かの極みである。
ということの実感でしょう。
似たような実感に、
――死んだら、ゆっくり休めるぞ。
という戯れ言があります。
年配の実業家などで,日々、超多忙な人たちが口にするそうですが――
同じ実感を、まったく違う側面から素描しているようです。