ホント・パンツから白い2本の太腿をトロっとみせている女性がいたのです。
上半身に薄手の青いセーターのようなものをピッチリに巻いて、体の線を露(あらわ)にしておりました。
そんなセクシィ衣装の女性が――
ほんの2、3才くらいの女の子を連れていたのですよ。
たぶん、自分の娘です。
その女の子が、どこにでも売ってそうな平凡な寝巻を着て、安そうなスナック菓子の袋から中身を取り出し、ボリボリと頬張っているのですよ。
(おいおい。そんな歳から、そんなもん食べさせて、大丈夫なのかよ!)
って心配せずにはいられませんでしたね。
完全に余計なお世話ですが――
その女の子がスゴい勢いでスナック菓子を頬張っているその脇で――
セクシィ衣装のお母さんは、知らんぷりで携帯メールを打っています。
(おいおい。もう少し娘の相手をしてやれよ、メールとかじゃなく!)
って義憤を抱かずにはいられませんでしたね。
完全に余計なお世話ですが――
こうした光景を、僕は通勤電車に乗っていて垣間見たのですが――
何だか、急にいたたまれなくなりましたね。
その女の子が、あまりにもスゴい勢いでスナック菓子を頬張っているのが、どうにも切なくて――
(ご飯ちゃんと食べさせてもらってないのかなあ)
などと思ったりもして――
(お母さん、セクシィ衣装でメールとか打ってる場合じゃないだろ)
と――
もちろん、完全に余計なお世話です。
でもね――
35になって、そういう光景を目にすると――
やっぱり、そういうことを考えずには、おれないのですよ。
ワケもなく、その女の子が不憫にみえました。
が――
一つだけ救われた気がしたのは――
その女の子が妙に人懐っこかったことです。
周囲に立つ大人たちに向かって、愛想よく笑顔を振りまいていました。
自分のお母さんはメール打ちに必死なのに――
その様子をみて、
(それなりに愛されながら育てられてはいるんだろうな)
って感じましたよ。
そうでないと、あの笑顔は振りまけないでしょう。