マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

慣れたことで地道にコツコツ

 今朝、寝ぼけ眼(まなこ)にTVをみていたら、

 ――小室哲哉氏、詐欺罪の容疑で逮捕――

 ときいて、かなりビックリしました。

(え? マジかよ?)
 と――

 驚いたのは、僕だけではなかったことでしょう。

 小室さんといえば、Jポップの世界での押しも押されもせぬビッグネームです。

 とはいえ――
 最近の小室さんの困窮ぶりは、業界事情通の間では、かなりの噂になっていたそうです。

 90年代後半に、国内市場で限界を感じ、アジアを中心とした世界市場に活路を求めたところ――
 かえって資金繰りにつまずき、深刻な挫折を味わった、というのです。

 私生活でも挫折は続いたといいます。
 離婚した妻から、多額の慰謝料や養育費を請求される身であった、とか――

 こういう背景が、逮捕と同時に出回るということは――
「小室さん逮捕」の一報は、きく人がきいたら、

 ――ああ、やっぱり――

 といった程度のインパクトだったのかもしれません。

 ところで――

     *

 そうした背景をネット・ニュースなどで知って――
 すぐに思い出されたことがあります。

 医学生時代にきいたベテラン外科医の言葉です。

 曰く、

 ――医者として腕をあげ、立派な治療成績を上げていたヤツが、突然、ポシャることがある。

 と――

「どうしてポシャるんですか?」
 と問うと、

 ――医療以外に手を出すからだよ。例えば、新しく事業を始めるとか――

 と――

 つまり――
 医者として成功をおさめ、自分の病院を建て、安定した収益を挙げ続けた結果、莫大な資金を手に、それを元手に、博打まがいの投機に出て――
 かえって何億という借金を背負うケースが――
 たまに、あるそうなのです。

 ――人は慣れないことに手を出したら駄目なんだよ。

 と、そのベテラン外科医はいいました。
 真意は、

 ――慣れたことで地道にコツコツやっていくほうが、結局は、幸せな思いをする。

 といったところでしょう。

 小室さんが犯した過ちも、それと似た類いのものだったのかもしれません。