マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

パンデミック

 フェーズが「3」から「4」に引き上げられたと思ったら――
 あっという間に「5」へ引き上げられましたね。

「フェーズ」というのは――
 世界保健機関が用いているパンデミック・フェーズのことです。

 正確には、

 ――Pandemic influenza phase

 ですね。
 新型インフルエンザに対する警戒水準です。
 全部で「1」から「6」まであって「6」がパンデミックの真っ最中に相当します。

 この警戒水準は、制定当初より「3」から「5」へ一足飛びに引き上げられることが想定されていたそうです。
 よって、

 ――「3」から「4」へ、すぐに「5」へ――

 と引き上げられたからといっても、そんなに恐れるべき状況ではないのですが――
 そうした事情を知らない人々にとっては、かなり由々しき状況に感じられることでしょう。

 しかも――
 今朝、今までメキシコに限られていた死者が、ついにアメリカでも確認された、とのニュースが飛び込んできました。

(もしかして、ホントに最悪のシナリオだったりして?)
 と思った向きも少なくはないはずです。

 僕も思いました。

 が――
 そのアメリカの死者というのは、メキシコから訪れていた家族の幼児だそうで――
 死者は、まだメキシコに限られているといってよいでしょう。

 とはいえ――
 パンデミック・フェーズが「5」に引き上げられた事実は動きませんね。

 各国当局は、今が最も神経を使いたい時期でしょう。

 それにしても、この「パンデミック(pandemic)」という言葉――
 なんだか紛らわしいですね。

 まるで「パニック的大流行」みたいな――(笑
 そんな語感がありません?

 正直にいいますと――
 僕が最初に「パンデミック」という言葉をきいたときには、「パニック的大流行」を意味するのだと思いました(笑
 まるで、

 ――この世の終わりがくるのか?

 みたいな――(笑

 英語の「pandemic」は、主に形容詞として用いられ、「汎流行性の」などの訳語があてられていました。
「pan-」という接頭語に、「広く」や「全体的に」といった意味をもつ「汎」という漢字をあてたのですね。
 そのうちに、名詞でも多用されるようになり、最近では「世界的大流行」と訳されることが多いようです。

 たしかに、そのほうが正確な状況を想像しやすいのですね。
「汎流行性の」とか「汎流行」では、今ひとつ馴染めませんよ――とくに「汎」の辺りが――
 
 いずれにせよ――
 大切なことは、

 ――「パンデミック」は「パニック的大流行」ではない。

 ということです。

 問題なのは、感染地域の広狭ではなく、病原性の高低なのですね。

 仮に、今回の新型インフルエンザが世界的大流行になったとしても(つまり、パンデミックになったとしても)――
 その病原性が高くなければ、深刻な状況にはなりません。

 各自、毎日の生活の中で、いつもより休養や栄養を多めにとるなどして体力を温存することで、十分に予防できるでしょう。

 では――
 病原性が高いときには、どうなるのか?

 そのときには、残念ながら、本当にパニック的な大流行になってしまうかもしれませんね。

 その可能性は、ゼロではありません。
 だからこそ、各国の当局が神経を尖らせているのですから――

 もっとも――
 病原性が高いということは、感染拡大の速さは鈍いということです――感染してしまった患者が簡単には動けなくなるので――

 そうなれば――
 各国当局の対応が後手に回る危険性も低くなるでしょう。

 深刻な状況は、少なくとも世界規模では、十分に回避できるはずです。