――若いときの苦労は買ってでもしろ。
などといいますよね。
たしかに、その通りなのですが――
でも――
僕はあんまり苦労してないなあ~(苦笑
イヤな経験なら、いくらかはしましたけどね。
例えば、本当にやりたくないことをムリしてやりつづけると、体を壊したり大けがをしたりするとか――
いつ死んでもよいと思って生きてこなかった人の死を見送ることが最もつらいとか――
そういう経験を、10代や20代のときにできたのは、とてもよかったと思っています。
人生の初めの頃に良い経験ばかりしていたのでは、あとが大変です。
すごく惨めな思いをすることでしょう。
そういう観点から述べたいのですが――
「若いときの苦労は買ってでもしろ」というのは、少し違うと思うのです。
「若いときに、できるだけイヤな経験を積んでおけ」のほうが、より実際的ではないでしょうか。
つまり、買ってでも苦労をするべきなのは、イヤな経験の実態を知るためであって――
その苦労を、例えば、将来の糧にするとか未来の自信につなげるとかいったこととは、少し違うと思うのです。
歳をとってから初めて経験をするイヤなことというのは、人の気持ちを強く挫くに違いないと思います。