以下は――
新聞のコラムか何かで読んだ話です。
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20世紀のこと――
ある大国に、国家指導者の身辺雑務を取り仕切る役職があり――
その役職に――
20代の時から30年以上にわたって就いていた男がいた。
その男は、仕事柄、代々の国家指導者の仕事ぶりを身近でみてきた。
退職後に回顧録を著して――
自分が仕えた代々の国家指導者らを一人ひとり評価していく。
面白いことに――
一般的には評価の低い国家指導者を高く評価し――
一般的には評価の高い国家指導者を低く評価していた。
が――
よく読むと――
単に――
自分が若かったときに仕えた国家指導者を高く評価し――
自分が同年配のときに仕えた国家指導者を低く評価しているだけであった。
人の器量をはかる目というものは――
人生経験の豊かさに比例して厳正ないし不寛容になっていくものではないか。
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歳をとって――
人のことや世の中のことが、よくみえるようになってくるにつれて――
人物評の基準は――
順次、書き換えていく必要があります。
加齢に伴う偏りを補正するためです。
若いうちは――
短所さえも長所と誤解しやすいものです。
老いてからは――
すべてが短所にみえて仕方ないのです。