マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

成功体験こそ要注意

 ――失敗は成功の母

 とは、いわれても――
 その逆は、あまりいわれませんね。

 逆というのは――
 成功していたからこそ、かえって失敗してしまった、というケースのことです。

 ――成功は失敗の父

 とでも、いっておきましょうかね(笑

 僕が20代だった頃にいわれたことで、妙に記憶に残っていることに、

 ――成功体験ほど危ないものはない。

 というものがありました。

 成功体験は蜜の味です。
 だからこそ、ついそれを繰り返したくなる――

 ところが、人を取り巻く状況というものは――
 常に変化し続けていくのです。

 よって――
 過去の成功体験は、実際には、ほとんど役に立ちません。

 過去に成功したときの状況と現在の状況とでは、成功に至る秘訣が微妙に違っているからです。
 ときには、全く違っているかもしれません。

 そのことに気づかずに、躍起になって過去の成功体験を繰り返そうとしていたら――
 大変なことになりますよね。

 なかなか巧く繰り返せないものだから、ますます悶え苦しむことになる――
 そうこうするうちに、いつしか再起不能の失敗に陥ってしまう――

「成功体験ほど危ないものはない」というのは――
 そうした処世訓を端的にいったものです。

 僕の言葉でいえば「成功は失敗の父」ですね。
 なんで「父」なのかは、おいといて――(笑

 ホントのところをいうと――
 成功も失敗も、そんなに悪いことではないと思っています。

 何度だって繰り返したらいい――

 だって、「失敗は成功の母」であり「成功は失敗の父」であるのですから――
 成功も失敗も、本来は何度だって繰り返すのが自然なことなのです。

 が――
 唯一、悪いことは、「再起不能の失敗」でしょう。

 それは、たいていは「死」に直結するはずです。

「死」というのは――
 文字通り、個人の絶命であったり、あるいは、組織の壊滅であったりするでしょう。

 組織の壊滅なら、まあ、何とかなるかもしれないとして――
 個人の死亡、これはマズいのですね――取り返しがつかないから――

 だからこそ、ほどほどの成功と、ほどほどの失敗――
 そして、たまには物凄い成功を――
 けれども、物凄い失敗だけは避けるように――

 そのためには――
 成功体験こそ要注意なのです。