マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

成功の幻

 成功の幻を――
 人は、つい見てしまいがちです。

 成功は――
 再起不能の失敗を回避し続けるうちに――
 何らかの幸運に恵まれることによって――
 もたらされるのですが――

 この“ふとした幸運に恵まれる”という点を見落として――
 成功が、あたかも人為的にもたらされると勘違いをしてしまう――
 この勘違いに基づく人が、傲然と追い求めてしまうものこそ、

 ――成功の幻

 です。

 再起不能の失敗を地道に回避し続けることに頓着なく――
 再起可能の失敗は過度に忌避し続けようと躍起になって――
 成功の幻にのみ、手をかけようとする――

 が――
 伸ばした手の先にあるものは、幻であって――
 実際には、何も存在していない――

 それにもかかわらず――

 ……

 ……

 成功の幻を見たがるのは――
 人の自然の情といえましょう。

 おそらく、

 ――成功は、人為的には決してもたらされえない。何らかの幸運に恵まれることによってのみ、もたらされうる。

 と割り切ることは――
 人には不可能なのです。

 ――そんな“幸運”の有無に弄ばれるような人生は嫌だ。

 と――

 ――人事を尽くして天命を待つ。

 との諺(ことわざ)も――
 伝わってはいるのですが――