人は、いつも同じことばかりを繰り返していると――
だんだんに疲れてくるのですね。
ですから――
もし、生きることに疲れたくなければ――
次々と新しいことに手を出していくといい――
ところが――
ここには深刻な矛盾が隠れています。
そもそも、生きるということは、同じことの繰り返しです。
少なくとも安穏に生きるということは、同じことを繰り返して生きる、ということです。
――同じことの繰り返しが、極めて盤石な生である。
ということですね。
ですから――
いつも同じことを繰り返していると、極めて安定した生活を送れるわけですが――
その生活は、同じことの繰り返しであるがゆえに、その人の心を苦しめます。
生きるのに疲れたくなければ――
極めて安定した生活を、程よく、揺さぶってやらねばなりません。
ちょうど赤ん坊の揺りかごを揺するくらいに――
激しく揺さぶってはダメですよ。
とりわけ――
他の人たちを誘って、一緒になって徒党を組んで――
皆で熱病に罹ったかのように、激しく揺さぶってはいけません。
その「徒党」が国家規模に膨れ上がったときに――
事態は戦争へと激化していきます。
戦争とは、生きるのに疲れた人たちが、安定した生活に辟易としたことで、つい始めてしまうものです。