マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

次世代の哲学者たちは

 人の心が脳の働きの結果であるとするならば――
 人の思考や発言、行動の類いのすべては、ヒトの脳の特性に縛られていることになります。

「ヒトの脳の特性」とは、

 ――脳の神経生物学的ないし神経科学的、脳科学的な知見によって説明されうる特性

 という意味です。

 したがって――
 例えば、哲学の諸問題は、突き詰めていくと、大半は人の思考の基本的な習性を論考することになりますので――
 哲学の諸研究は――哲学史研究や、哲学文献研究などを別にすれば――ヒトの脳の特性に論拠を求めていくしかない――
 ということになります。

 ほんの100年ほど前までは――
 ヒトの脳の働きについては、まったくといってよいほどに、知られていませんでした。

 現代は、人類史上かつてないほどに、ヒトの脳の働きがわかってきている時代です。

 したがって――
 哲学は、現代、人類史上初めての局面を迎えていることになります。

 とはいえ――
 ヒトの脳の働きのうち、現代までに解き明かされた部分は、ほんの一握りにすぎないとみなすのが妥当でしょう。

 たしかに僕らは、ヒトの脳の特性について、今までのどの時代の人々よりも多くを知っているけれども――
 その理解の深さは、まだ大いに不十分であろう、ということになります。

 次世代の哲学者たちは、ヒトの脳の特性について、まだ理解されていない部分に思いを馳せながら――
 自分たちの哲学を発展させていくことでしょう。