世に、
――良妻賢母
なる概念が存在しますが――
そういう女性は、本当に存在するのでしょうか。
まあ、たぶん一応は存在するのでしょうが――
ちょっと僕は懐疑的なのです。
いわゆる「良妻賢母」の女性が、本当に良妻であったり賢母であったりするのか、ということです。
古典などを読むと、いわゆる「良妻賢母」は、
――男性の論理で物事を判断しようとする女性
のことを指しているように思えます。
あくまでも男性の論理です。
決して女性の論理ではない――
女性の倫理でもなければ、女性の感覚でも、女性の感性でもない――
男性の論理です。
よって、少し意地悪な言い方をするならば――
「良妻賢母」とは、男性社会の価値観に巧く染まることのできた女性へのレッテルです。
「レッテル」が少し過激であれば――
「褒め言葉」に言い換えておきましょう。
男性から女性への褒め言葉です。
本当の意味での良妻は、夫の価値観から自由であり――
本当の意味での賢母は、息子の価値観から自由であるはずです。
そのような良妻や賢母は、いわゆる良妻賢母ではない――
では、どのような女性なのか――
男の僕には、ちょっと、すぐには指摘しかねるのですが――
大いに考えさせられる問題提起ではあります。