いわゆる名著は、
――自分で作るものだ。
と思っています。
「自分で書くものだ」ではないのですよ。
「作るもの」です。
例えば――
ある人がある本に出会い、それを夢中で読み込んでいったなら――
その本は、その人にとって名著に感じられているでしょう。
が――
そのことは、その本が絶対的な良書であることを必ずしも保証しないのです。
その人にとっての良書――つまり、相対的な良書――である可能性もある――
むしろ、その可能性のほうが高いかもしれません。
本が良書かどうかを決めるのは、多分に、その本を手に取った人の心理状態でしょう。
心理状態というのは、広い意味でいっています。
何を知りたがっているか――
そのときに、どんな気持ちでいるか――
何を感じていたか――
何を考えていたか――
どんな希望を持っているか――
どんな失望を味わったあとか――
そういった要素が幾つも合わさって――
人は、目の前の本が良書かどうかを、おそらくは無意識に、判断しているのです。
――名著は自分で作る。
とは、そうした意味です。
ごく最近――
僕も、そうやって名著を作りました(笑
今、手元に置いています。
読み返してみると――
絶対的な良書からは遠いに違いありません。
が――
僕には名著ですね。