頼まれたら断れない人――
というのがいます。
そういう人の心理は、どうなっているのでしょうか。
おそらく――
頼まれたことを、
(イヤだな)
と思うことが一切なく――
それどころか、
(嬉しい)
と思ってしまう――
あるいは――
(わざわざ自分なんかを頼んでくれて、ありがたい!)
とさえ思ってしまう――
そういう心理が働くのだと思います。
面白いことに――
何度も繰り返し頼まれているうちに、だんだん断れるようになっていくということは、なぜか、ほとんどなくて――
頼まれたら断れない人というのは――
いくら何度も繰り返し頼まれたところで、いつまで経っても、なかなか断れない――
という傾向にあるようです。
――あの時は引き受けたのだから、今度も引き受けなければ……。
という心理も働くようなのですね。
よくいえば、
――首尾一貫
わるくいえば、
――杓子定規
ということです。
それが損か得かと問われれば――
おそらくは損であろうとは思いますが――
そういう人でないと絶対にみえてこない風景というのが――
人の世には、あるでしょう。
そういう人は――
虚構の物語の主人公には打ってつけです。